オーナーです。今回のテーマは研磨のお話「GFホイール」です。
GFホイールは弊社を代表する製品です。
研磨布(俗に云うサンドペーパー、以下略してペーパー)ホイールの一般的な製品と云えばフラップホイールですが、ペーパーを叩きつけて研磨するのでベルトと比べてかなり研削性が落ちてしまいます。ですのでフラップホイールは仕上げ研磨やベルトの目消しと云った用途で使われる事が多いんです。(詳しくは過去のブログを参照下さい)
弊社の創業者、私の父はホイールの作り方を工夫してもっと研削性が高いホイールが出来ないかと試行錯誤を繰り返しました。人間がペーパーを手に持って磨くときは必ず砥粒面で擦ります。しかるにフラップホイールではペーパーの端を持って叩きつけています。これでは磨ける物も磨けません。ベルトは回転しながら砥粒面を押し当てるので手で擦るのとほぼ同じです。
じゃあベルトで良いんじゃないかと思ったあなた、ベルトには大きな問題があるんです。それは初期状態とその後では目の粗さが変わってしまう事や、寿命が短くて交換頻度が高いことです。(詳しくは過去のブログを参照下さい)
一方、研磨ホイールは寿命が長く自動化ラインに好適で、高研削タイプのニーズは確実にあると父は考えていました。とにかく羽根のバタ付きを無くそうと云うことで、羽根を捻り合わせる事で1枚1枚の羽根が動けないようにしたNFホイールを考案したんです。(詳しくは過去のブログを参照下さい)
発売するとNFホイールは非常に高い評価を得ました。しかしそれは目論んでいた研削性では無くて仕上げ目でした。NFホイールは羽根がバタつかないので均等な仕上がりが得られます。センタレス研磨の#120~#600ぐらいが主流となりました。しかし#40~#80ではどうしても研削力が不足しました。
実はNFホイールを作るに当たり、父は羽根を捻り合わせる方法とは別の方法を考えていました。夏の暑い日に扇子を触っていて思いついたと自伝「鵬の志」で書いています。ただ実際に作ってみると30mm幅以上は出来なかったので、お蔵入りのアイデアになっていました。
父の事業を継ぐために戻った私はもともとコンピューターのソフト屋で、当時出始めたNECのPC-9800で古い図面をCADで書き直していました。その時にNFホイール タイプ2と命名された型を見つけ、それをアレンジして75幅や100幅でも出来るようにしました。父は「そんな考え方もある」程度であまり関心を寄せてくれませんでした。しかしラッキーだったのは当時の工場長が板金の技術を持っていて、専用組み立て治具を作ってくれた事です。完成したGFホイール第1号はカチンカチンの砥石のような硬さで、フラップホイールとは似て非なる物になりました。それを見た瞬間、父は「これは何や!」と驚いて、すぐに研磨機メーカーに持ち込んでテストして貰いました。
結果は素晴らしく、ペーパーホイールでは考えられない研削性を示しました。
以来GFホイールは弊社を代表する研磨ホイールとなり、主に鉄鋼メーカーのセンタレス研磨ラインで活躍しています。また海外でもアメリカ、中国、ブラジルなど今では8ヶ国へ定期的に輸出しています。
GFホイールは羽根を高密度で組んでいる為、強く押付けて羽根先を僅かに広げる必要があります。そのため一般的なフラップホイールより大きなモーターが必要になります。また摩擦熱も高くなるので、基本的に水冷が必要になります。このように使用時の条件合わせが重要なため、弊社ではお客様の現場に伺ってホイールの硬さや使用するペーパーを選んでいます。当初は目詰まりして使えなかったアルミや銅といったワークにも今では採用されています。
写真:目詰まり対策品
使用する研磨材の研削性が上がれば、研磨時間や工程の短縮が出来ます。GFホイールを採用する事で工程が4分の1になり、研磨機の増設が不要になったとか夜間作業が無くなったお客さんもおられます。皆さんも是非一度弊社までお問い合わせ下さい。
今回をもって私のブログは終了とさせて頂きます。2022年が皆様にとって良い年でありますよう願って筆をおきます。長い間、ご愛読ありがとうございました。
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